研究課題/領域番号 |
14401021
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
榎森 進 東北学院大学, 文学部, 教授 (10145972)
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研究分担者 |
麓 慎一 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (30261259)
佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
細谷 良夫 東北学院大学, 文学部, 教授 (50042164)
高倉 浩樹 東北大学, 東北アジア研究センター, 助教授 (00305400)
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キーワード | 列島北方地域 / アムール川流域文化 / 民族 / 交易 / 文化変容 |
研究概要 |
本研究の目的は、「列島北方地域」に展開した歴史の特徴を「民族」・「交易」・「文化変容」というキーワードを基にして、「アムール川流域文化圏」に展開した歴史との相互関係を解明するところにある。この目的を達成するため平成14年度に研究代表者と研究分担者(研究協力者を含む)が共同で実施した諸調査とそれによって得られた知見は以下の通りである。 1、サハリンの現地調査概要とそれによって得た知見。 平成14年8月4日〜8月13日に南サハリンの現地調査を実施したが、最初にサハリンの州都・ユジノサハリンスクに行き、先ず同地の国立サハリン大学を訪問し、歴史学者ヴィソーコフ氏・考古学者ワシレフスキー氏他の研究者に会い、サハリンにおける歴史学・考古学・民族学の研究の現状に関する情報を把握し、次いでサハリン郷土博物館と国立サハリン州文書館を訪問し、前者では、主に物資料・考古資料を初め、ニヴヒ族・ウイルタ民族の生産・生活文化に関する諸資料を調査を、後者ではし、戦前の日本領時代の旧樺太庁文書とサハリンに関するロシア側の諸文書の残存状況を調査したうえで、日本の近世にアイヌ民族が居住していた南サハリン東西海岸部の各地とアニワ湾沿岸部の調査を実施した。この調査で得た大きな成果は、先ず日本では入手困難なユジノサハリンスクで出版された学術書を入手することが出来たのを初め、これまで日本の研究者が殆ど調査していないサハリン西海岸部の旧アイヌ民族の居住地を調査することが出来たことである。特に西海岸部は、交通の事情が悪いことに加え、ソ連時代及びソ連崩壊後に開発が進展しなかった地域であったために、アイヌ民族の居住地域の自然地理的環境が破壊されることなく残っていたことから、近世におけるサハリン南部のアイヌ民族の生活環境をほぼ正確に把握することが出来たことは何よりも大きな成果であった。クシュンナイ(現イリンスキー)、ナヨロ(現ベンゼンスコエ)、トマリオロ(現トマリ)、ノタシャム(現チェーホフ)等はその代表的な地である。 2、アムール川下流域調査のための予備的調査とそれによって得た知見。 平成14年8月26日〜8月30日、ハバロフスクに行き、海外共同研究者・ハバロフスク教育大学助教授のコピチコ・ヴィヤチェスラフ氏とアムール川下流域に居住しているナナイ民族・ウリチ民族の調査に関てその方法や最適な時期及び必要経費等について打合せを行った。コピチコ氏は、アムール川の中流域から下流域に至る地域の現状について豊富な知識を有しているので、今後現地調査をするに当って、多くの有益な情報を得ることが出来た。
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