研究課題/領域番号 |
14401025
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研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
伊東 利勝 愛知大学, 文学部, 教授 (60148228)
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研究分担者 |
河野 泰之 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (80183804)
小林 愼太郎 京都大学, 大学院・地球環境学堂, 教授 (20026602)
福井 捷朗 立命館アジア太平洋大学, アジア太平洋学部, 教授 (10027584)
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キーワード | ミャンマー / タイ / 稲作農業 / 植民地期 / 小規模灌漑 / 水利組織 / 農民の市場対応 |
研究概要 |
平成14年度は、主としてエーヤーワディー流域中部の灌漑濃業について、実態調査を2回行なった。第1回は平成14年7月29日から8月11日にかけて、タウングー、ヤメーディン、メイッティーラー、ミンジャン、タウンドゥインヂー地方等の小規模灌漑施設の稼動状況を、ミャンマー農業灌漑省のアレンジにより調査した。農民独自の組織によって築造、維持、管理されている溜池や木堰、砂堰の構造を実見し、関係農民への聞き取りによりその築造方法や維持管理方法および灌漑地の土地利用の実態について理解を深めた。またタウングー付近に東北タイのタムノップ(洪水拡散型土堤灌漑)に類似した施設が存在することも確認した。 次いで第2回目として、平成15年1月8日から1月18日にかけて、タウンドゥインヂー、サリン、セイトータラー地方に存在する小規模河川灌漑施設を、今回もミャンマー農業灌漑省のアレンジにより調査した。その結果、これまで殆ど知られていなかった水利委員会の活動内容と、その記録簿を6箇所で入手できたことは大きな収穫であった。中にはここ数十年の記録も含まれており、これによってデルタ後背地の農民が、気候や米穀市場変動にどのように対応したが明らかになるものと期待される。またタウンドゥインヂー地方の小規模河川灌漑地域に展開する村落に関し、1783年当時と1930年時点での比較検討を行なった結果、約三分の一がこの間消滅し、かつこれを上回る村落が植民地期以降成立していたことが明らかになった。その原因等の調査は次年度以降の課題である。 以上の実態調査と平行して、在ヤンゴン・ミャンマー公文書館と在デリーのインド公文書館で、19世紀後半から20世紀前半にかけてのエーヤーワディー流域中部の小規模灌漑関係および飢饉に関する資料調査を行い、多くの関係資料を収集した。
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