研究概要 |
1)調査データ整理と現段階での取り纏めを行い、当該地域調査のレポートを2003年9月と2004年2月に、それぞれ第一次調査成果、第二次調査成果として公表出版した。前者はイラン国ギーラーン州セフィードルード川流域の遺跡分布調査、後者はさらにタッペ・ジャラリイェ遺跡の発掘調査の概報である。これらによりこれまでに57地点について所定の形式にデータ化することができた。また、2001年度調査地点(serial numbers 2001-1〜26)採集の土器、陶器および一部の石器資料について遺物観察表を完成、公表した。 2)タッペ・ジャラリイェ遺跡の第2層および第3層より採取の炭化物試料について、放射性炭素年代測定法による年代測定を、名古屋大学年代測定総合研究センターにて行い、結果を得た(測定番号NUTA2-5760,5761,NUTA2-6211,6212,6215)。「較正暦年代」はいずれも最大幅で紀元前8世紀初から紀元前5世紀末の値を示している(ただし、NUTA2-5761については、紀元後9〜10世紀を示し、出土状況より推して予測外の測定値結果であった)。 3)2004年2月16日より同年3月14日までの期間、ギーラーン州マースーレにて資料調査ならびに数遺跡の再踏査、その後マーザンダーラーン州からゴレスターン州、セムナーン州の関連遺跡の踏査、テヘラーン近郊の鉄器時代集落遺跡の踏査を比較研究の一環として行う。資料調査においては、2002年度表採資料の実測、「観察表」の作成を終了させた。採集石器資料中に紡織用のおもり(loom weight)を確認したが、先年出土の紡錘車資料と共に、出土遺跡のタッペ・ジャラリイェが居住址であることを示唆する重要資料であると認識される。
|