研究課題/領域番号 |
14401031
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
松原 孝俊 九州大学, 韓国研究センター, 教授 (20150378)
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研究分担者 |
中野 三敏 九州大学, 名誉教授 (70036987)
中見 立夫 東京外国語大学, AA言語文化研究所, 教授 (20134752)
有馬 学 九州大学, 大学院・比較文化研究院, 教授 (80108612)
岡村 敬二 京都学園大学, 人間文化学部, 教授 (90310664)
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キーワード | 中国東北3省 / 日本語資料 / 図書館間のネットワーク化 / 日中間の研究者ネットワーク / 中国東北部現存する和本の総数 / 統一の目録作成フォーム / 入力文字コード |
研究概要 |
本研究によって、中国東北部(遼寧省・吉林省・黒龍江省)に所蔵される日本語資料は、約200万冊に達すると判明した。この数字は、1945年以前に中国東北部に搬入された日本語資料の総量である。1945年以前に満州国の各公共図書館や会社図書室などが作成した図書目録を網羅的に蒐集することで、いわば「中国東北部への入口調査」を実施したものである。残念ながら、1945年から49年に至る中国動乱期に、上記した約200万冊の日本語資料の多くは、各地に分散され、流浪の運命を辿った。岡村敬二らによる蔵書印調査などを通して、中国東北部における2003年現在の保存状態を調査・研究し、いくつかの図書館における具体的な移動経緯を解明できた。例えば、瀋陽に設立された旧満州医科大学所蔵本草学関係資料は、その大多数が北京へと流出したものの、北京市内でもさらに流浪し、現在ではかっての半数が中国漢医学研究所に落ち着いた。しかしながら残りの蔵書に関しては、一部が中国医科大学(瀋陽市)に返却されたが、今回の調査でも依然として移動先不明の図書資料も多い。 そこで、本研究チームは、中国東北部の3省立図書館に対して、各省立図書館が管轄する省内の公共図書館に現存する日本語資料の総量調査を依頼した。一方で、3省に存在する吉林大学や東北師範大学などの大学図書館にも、同様な依頼を行った。その結果、和本の総数が約1500点であると判明した。 問題の所在は、同一本の複数所蔵をそのまま点数に含めたり、さらには同一本であっても書名を異なって登録するなど、点数調査を実施する基礎的段階で、その障害要因が認められた。 本研究調査の重要性はますます高まってきたが、幸いにも2003年12月13日と14日の両日、本研究チーム主催の「在外日本語資料所在データベース会議」が開催でき、中国東北部3省の省立図書館長を日本に招聘し、各界で関心を抱く日本人研究者との人的交流が進んだばかりでなく、国会図書館と中国東北部3省立図書館などの関係が生まれた。その結果、日本語資料の全面的公開原則が確認されたばかりではなく、統一の目録作成フォーム・入力文字コードの確定や、東アジア日本語資料を取り扱う司書のコンソーシアム結成などが議論された。
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