本年度が本研究の最終年度である。 (1)方言データのチェック及び補足。秋谷は中国浙江省温州市に分布する瑞安方言以外の甌江方言群データのチェック及び補充を担当した。太田は温州市瑞安方言のより詳細な調査を昨年度に引き続き行った。本年度の補助金はすべてこの現地調査(計四回)に用いられることになった。海外共同研究者の曹志耘、趙日新は浙江省金華市に分布する〓州方言群データのチェック及び補充を担当した。 (2)《呉語〓州方言研究》の執筆。曹志耘が学術振興会の招へいにより十一月〜十二月に秋谷の勤務校・愛媛大学に滞在した。その期間に集中的に《呉語〓州方言研究》の共同執筆を進め、金華、湯溪、磐安、武義、永康方言及び第一章概説、字音対照、語彙対照についてはほぼ完成した。本書には、金華、湯溪、磐安、武義、永康、浦江、東陽七方言のデータを収め、平成十七年中に中国で刊行される見通しである。なお、海外共同研究者の梅祖麟教授が序文を執筆する。 (3)《呉語甌江方言調査報告》の執筆。こちらは秋谷が主に担当した。甌江方言群のうち、楽清、蒼南、瑞安、泰順四方言のデータを収める。この四方言ほど詳しい調査ができなかった温州、洞頭、文成、平陽、永嘉五方言については、その概要を提示するにとどめる。〓州方言群ほどの詳しい調査はできなかったため、「語音特徴」「語彙特徴」「語法特徴」は含めず、もっぱらデータを提示することを目標とした。そのため書名を《調査報告》としたのである。こちらは平成十七年度中に日本で刊行する予定である。
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