研究課題
基盤研究(B)
本研究は、ベトナム北部の民家など伝統的木造建造物の架構法の建築的特徴と歴史的変遷を明らかにすることをめざして、平成14年度から3カ年の計画で実施した。1)ベトナム北部民家など伝統的木造建造物に関する調査およびその建築史的考察・平成14年度から平成15年度において、北部ハティ省での民家調査を中心に、北部一帯に所在する仏教寺院および亭(ディン)などの木造歴史的建造物、さらにはハテイ省バヴィ県フーソン村フーフゥ集落を典型的として取り挙げて集落事例調査などを実施した。・最終年度ではこれらの調査から得られた各種の情報を整理・分析し、考察した。・そのおもな結果は建築学会年次大会や関東支部研究発表会において学術講演発表するとともに、論考2編を「日本建築学会計画系論文集」に、また1編を「日本建築学会技術報告集」にそれぞれ投稿し、採用された。2)ベトナム北部民家の架構実験・初年度においてベトナム関係機関との折衝しながら、実験対象としてバクニン省における修理民家を選定、基本設計を終え、昨年度においてベトナムにおいて民家架構1構面(柱5本)の実物大模型を監理・作成し、年度末に納品された。また、これと併行して、北部で用いられている用材の片材を用いた材料実験を試みた。・最終年度早々の4月より、都立大学内の大型実験棟において、当該試験体を組み立て、4月から5月にかけて以下のような実験を実施し、データ収集した。(1)静的水平加力試験:予備加力を含め、正柱の柱頭へ1/1000〜1/60ラジアンの正負交番の静的水平加力を与えた。柱脚を固定しない場合と固定する場合を実施した。(2)鉛直加力試験:屋根荷重に相当する積載荷重(約1トン)の試験体頂部に固定し、その挙動を測定した。(3)微動測定:試験体の基礎的な振動特性を明らかにする目的で常時微動測定と人力加振試験を実施した。・以上のような実験からのデータを整理し、分析・考察をおこなった。また、論考1編を「日本建築学会技術報告集」に投稿し、採用された。
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