1.海外共同研究者の協力を得て、中国人民解放軍総後勤部档案館、空軍史料機関、軍事科学院など軍の機関で史料調査を継続するとともに、吉林省档案館、黒竜江省档案館、大連図書館など地方の機関でも再調査を行った。さらに、吉林省通化市、臨江市などにある残留日本人関係の史跡を実地で考察し、関係者にインタービューを行った。 2.台湾の国史館と中国国民党党史館で資料調査を行い、元国民政府側の関係資料を集めながら、台湾の研究者との学術交流も深めた。 3.昨年度に発表予定となった原稿を修正・加筆して、「東北解放軍医療隊で活躍した日本人-ある軍医院の軌跡から」と題して正式に発表し、反響を呼んだ。 4.「東北民主聯軍航空学校における日本人」を仮題とする初編を論文として充実させながら、「終戦当時東北残留日本人の境遇」、「人民解放軍の日本人政策」を仮題とする二つの初編を作成した。いずれも敏感なテーマであるため、公表するにはさらに時間を要するが、本研究の重要な一環を担うことを信じる。 5.本人が代表として担当している基盤研究C「中国国民政府の対日政策:1934〜1937」との相互補足を図るとともに、過去、現在、未来の対話に努めた。そのため、1930年代における中国国民政府と日本当局との心理的ギャップによる教訓と、中華人民共和国建国期における残留日本人の貢献を踏まえて、「日中関係における心理的障害」と題する研究発表を国際シンポジウム「東アジア漢文化圏と中国関係」で行い、新しい日中関係の構築に向けって提言した。 6.上記の成果の他、関連研究としても若干の論文を発表した(裏面も参照)。
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