研究実績の概要 本年度は当該調査研究の初年度に当たり、外資誘致をめぐる地域間の競合関係を進出企業の立地戦略と関連しつつ、軽工業とIT産業を中心にして考察した。研究代表者の古澤賢治は、本務校から半年間の在外研究の機会を与えられたため、あわせて当該研究を進めることにつとめた。古澤は7月に遼寧省の主要14都市の市長から外資誘致スピーチを聞いた。7月末には山東省東営市を訪問し、投資環境を調査。さらに、青島膠南市では、地場産業の食肉加工メーカーと機械加工メーカーを調べた。このほか、日系の食品メーカー、アパレルメーカーなど各種の中小企業を視察した。地方都市としては、11月に蘇州と上海、北京を訪ね、環境問題との関連において投資環境を視察した。更に12月には研究分担者の李捷生とともにアモイを訪問して、台湾企業の集積状況を調査した。 研究分担者の李捷生は12月に古澤とともに、福建省アモイ、石獅市などを訪問し、地方政府の外資誘致戦略と台湾系企業の進出情況を調べた。各地域の外資投資局と経済委員会と労働局などを訪問し、製靴、アパレル、パソコン部品、金型など東アジア最大級の台湾系企業(計5社)でインタビューを行い、台湾系企業が集積する開発区など(計4箇所)を考察した。3月19日〜30日に、李は北京、天津を訪問し、地方政府の外資管理部門で外資誘致政策の最新変化につきインタビューを行い、代表的な日系IT企業(計8社)を視察した。 福建と広東では労働集約型外資の誘致をめぐって、北京と天津ではIT関連の外資誘致をめぐって、激しい競合が生じていること、台湾企業と香港企業(繊維など)、日本企業と欧米企業(IT)との競合が始まっていることなどは、調査研究により明らかにされた。現在、このような地域間・多国籍企業間の複合的競争の実態について、調査記録と研究報告の作成作業を進めている。
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