研究概要 |
研究目的に掲げた通り、平成15年度には、第1に、GM GroupのOpel Werk in Eisenach(ドイツ)の調査研究を行うことによって、モジュラリゼーションの進展及びモジュール・ソーシングの意味と限界を明らかにすることに取り組んだ。この現地調査にあたって、GM社日本代表部の提案に従って、同工場と緊密な連携関係にあるOpel in Gliwice(ポーランド)の視察・インタビューの機会も得られ、きわめて有意義な調査成果を上げることができた。第2に、上記2工場の他、ドイツ政府系機関で東部ドイツへの投資誘致を担うために設けられている「東部ドイツ産業公社」(IIC Industrial Investment Council)の協力を得て、ドイツ統一後の旧東独地域での自動車・部品供給産業の発展をとくにポスト・リーン生産システムの実態調査・研究を通じて明らかにすることができた。とりわけ同公社の手配で、東独時代の国営自動車部品メーカーがドイツ統一後に市場経済に適応して成功を収めているケースを視察・インタビューすることができたことは、大きな成果であった。第4に、東欧を含む欧州域内で事業展開を行っている日本自動車メーカー、Toyota Plant in Valenciennes, France, Toyota in BrusselsとSuzuki in Hungaryなど日系自動車Transplantでの生産システム及び労使関係について現地調査を実施することができた。VW GroupのVW Sachsen GmbH in MoselとAudi Hungariaへの視察を実現できなかったことは惜しまれるが、それに代えてトヨタ自動車のフランス工場及び欧州統轄本部の視察インタビューの成果は小さくなかった。今後、調査研究の成果をまとめるとともに、さらに調査範囲を広げて研究を継続し、また国際的討論を実施することの必要性がますます高まっていることを確認することができた。
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