研究分担者 |
松丸 和夫 中央大学, 経済学部, 教授 (40146999)
中川 洋一郎 中央大学, 経済学部, 教授 (00164145)
池田 正孝 豊橋創造大学, 経営情報学部, 教授 (30055115)
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00350546)
青木 克生 関東学院大学, 経済学部, 助教授 (20318893)
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研究概要 |
本年度における研究の主要なテーマは,自動車・同部品業界におけるモジュール化の実態を明らかにし,その効果や問題点等を浮き彫りにすることにあった。まず第1回・第2回目の研究会において,池田,清の両氏が,これまでの研究成果のレビューに基づき,国内・海外自動車メーカーの国際的再編とモジュール化の進展についての歴史的経緯と現状を明らかにした。ここでは,国内・海外メーカー双方ともに大方モジュール化の方向へと進んではいるものの,各メーカーの間にはかなりの程度の温度差があることが明らかとなった。やや具体的に見ると,トヨタに代表される消極派の国内メーカーとフォードに代表される積極派の海外メーカーという構図を窺うことができた。池田,中川,松丸によってフランス・ドイツを中心として展開された欧州調査により,モジュール化の実態がさらに浮き彫りとなった。サプライヤーパーク設立によってモジュール化を劇的に進展させたMCC・アンバッハ,フォード・ケルン等の調査から,大規模なモジュール方式の現状においては少なからぬ問題があることが明らかとなった。その具体例を挙げると,サプライヤーパーク方式における取引への参加においてはかなりの初期投資が要求されるがゆえに,販売台数が目標を下回る場合,メーカーの側がその補償をしなければならないということがわかった。部品技術のブラックボックス化といった問題を合わせて考えると,モジュール化の効果については少なからぬ疑問が提起される。このような問題意識を引き継ぎ,清,中泉,青木,殷,遠山らによって行われたトヨタ本社等の聴き取り調査により,品質を犠牲にするようなモジュール化の導入は考えられないというトヨタ独自のスタンスが確認された。ここから,日本メーカーのモジュール化に対する消極的な姿勢が必ずしも海外メーカーの後手に回っているわけではないことが確認された。
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