研究分担者 |
池田 正孝 豊橋創造大学, 経営情報学部, 教授 (30055115)
中泉 拓也 関東学院大学, 経済学部, 講師 (00350546)
青木 克生 関東学院大学, 経済学部, 助教授 (20318893)
田村 豊 東邦学園大学, 経営学部, 助教授 (40340400)
中川 洋一郎 中央大学, 経済学部, 教授 (00164145)
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研究概要 |
今年度の研究成果については,大きく2つに分類することができる。第1は,昨年度から重要な問題として取り上げられてきた欧州自動車産業におけるモジュール化の評価についてであり,もう1つは,日本国内における外資系自動車メーカーの購買政策とその評価についてである。1つ目については,8/5に開催された研究会において欧州調査の結果を下に青木が報告を行っている。そこでは,日本的生産方式の導入とコスト削減を目的として欧州自動車産業において導入されているモジュール化においては,現場実践のレベルにおいて少なからぬ問題が生じている,という点が指摘されている。具体的にいえば,硬直的な契約がカーメーカーとサプライヤーが共同で行う改善活動の成立を非常に困難にしている,ということが明らかにされている。同時に,トヨタについては,国内のみならず海外現地工場においても,柔軟性のある契約やサプライヤーとの間の対面的コミュニケーションといった共同的改善活動を促すための配慮がなされていることも明らかとされている。欧州自動車部品メーカーのより詳細な動向については,2004年6月刊行予定の『(仮)日本の自動車メーカー・サプライヤー,環境激変への対応』において,池田,中川らによっても明らかにされている。第2は,1/31に開催された研究会において日産-ルノーやGMグループの調査結果を下に清が行っている報告に湿されている。ここでは,価格のみを基準として競争的に部品調達を行う欧米型の購買方式が日本国内の外資系自動車メーカーにおいてすでに採用されていることが明らかにされている。加えて,サプライヤーに対して部品の開発を丸投げするという欧米的なやり方がカーメーカーの側の部品技術・知識の空洞化をもたらし,ゆくゆくはカーメーカーが部品をコントロールすることが困難となってしまうのではないか,との懸念も指摘されている。これについては,2004年6月刊行予定の『(仮)日本の自動車メーカー・サプライヤー,環境激変への対応』で清により詳細に展開されている。 その他、中泉はモジュール化等の生産システムのデザインの内生化に向けた研究として、不完備契約下での系列内の競争をモデル化した。これについては、ヒアリング調査の成果をふまえ、生産システムのデザインとホールドアップ問題との関係をより詳細に検討していくことが課題である。
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