研究概要 |
本研究は,多様な価値観を持つ市民が様々な意見について主張を行う現代情報化社会において,効果的に社会基盤を計画・整備するため,利害対立する諸関係主体の計画段階での参加を明示的に考慮した社会基盤整備計画プロセスに関して計画システム論的検討を行う。その後、国際比較に立脚したフィールド調査と実証研究,および理論的モデルの構築と分析を行い,関連法・行政の各制度の設計のための政策論的知見とを提供することを目的としている.まず,我が国における社会基盤整備の計画段階における「参加」に関して,その解決すべき問題点を明確化した.これらの中には比較的定形化・数式化しやすいものとそうでないものがある.後者に対しては,さらにその背景となっている文化や歴史的コンテクスト,倫理観・慣習などを掘り下げて問題明確化手法(ブレーンストーミング)により明確化した.さらに,わが国ならびに北米における社会基盤整備の計画・実施・評価等各局面における「多主体の参加」の具体的事例データを収集した.また,参加型社会基盤整備の計画プロセスに関する理論モデルの開発のための基礎的研究を行った.上記で明確化した社会基盤整備における「参加」のプロセスに関して,定形化可能な部分についてモデル化するための基本構造を明らかにし,社会基盤整備のための公共プロジェクトにおける住民・ならびにその他の利害関係者の「参加の効果」を説明できる理論モデルの構築のための基礎を築いた.これにより,参加型社会基盤整備の計画プロセスを分析できる合意形成過程の理論モデル(不完備情報下の交渉型非協力ゲームモデル)の開発が可能となった.
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