研究課題
基盤研究(B)
本研究はこれまでもっぱら法人化論=企業化論の視点から検討されてきた大規模農業経営を株式会社形態も含めて、共同経営論の視点から再検討することを目的とした。そのために、多様な大規模農業経営をドイツ(東欧)・中国・日本についてフィールド調査することを主要課題とした。主要な成果の概要は以下の通りであるが、未利用の膨大なデータは今年度から実施されるJA出資農業生産法人に関わる研究に引き継ぐことにしている。(1)ハンガリー・チェコ・旧東ドイツ農業の市場経済下における農業構造の再編過程に関する研究を通じて、当初に予想されたよりもはるかに強固に共同経営型農業の残存がみられること、共同経営型農業は単に生産協同組合という企業形態だけでなく、株式会社をも含む多様な企業形態を取りながら存在していることが明らかになった。東ドイツで定点観測を行なってきた大規模な持株会社-子会社(有限会社)の経営体制においては、2004年に子会社に実質的に分解するという劇的な変化が発生したが、詳細な分析は今後に行なわれる予定である。(2)中国では集団型経営(有機野菜・茶)などを調査したが、土地の集団所有制と企業的経営を組み合わせたところで、かなり高い経済的パフォーマンスを有する経営が出現していることが明らかになった。(3)国内農業経営についてはJA出資農業生産法人・集落型経営体についての各地の実態調査を通じて、全国有数の先進農業地帯においてすら、従来の法人経営や家族経営の枠を超えた新たな共同型の経営体育成の議論が登場し、実践に移されつつあることが明らかにされた。米生産費調査の個表分析により、稲作経済において規模の経済が十分に働かない要因を検討し、集落営農や共同経営型農業の意義と可能性についての新たな知見が得られた。
すべて 2005 2004 2003 その他
すべて 雑誌論文 (12件) 図書 (2件)
農業経営・農村地域づくりの先駆的実践-地域農業の21世紀展望事例-(農林統計協会)(中川聰七郎・大原興太郎編著)
ページ: 239-270
米の生産コスト削減に係る調査報告((社)農協協会)
ページ: 49-57
Pioneer of the Farm Management and Village Building (Nakagawa and Ohara)(Norintokeikyokai)
Nokyokyokai, Study on the Cost Down of Rice Production
ページ: 40-57
農村と都市をむすぶ 628
ページ: 34-43
多面的機能を活かした農村振興の新手法等に関する研究(農村開発企画委員会)
ページ: 108-117
農業経済研究 71
ページ: 80-96
Rural Planning and Developing Committee, Study on the New Method of Rural Development
国際農林業協力 Vol.25,No.10
ページ: 10-26
International Cooperation of Agriculture and Forestry Vol.25, No.10
Nohson to Toshi we Musubu Vol.628
Journal of Rural economics Vol.76, No.2