研究課題/領域番号 |
14402028
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小田 滋晃 京都大学, 農学研究科, 助教授 (70169308)
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研究分担者 |
石田 正昭 三重大学, 生物資源学部, 教授 (80144228)
伊庭 治彦 神戸大学, 自然科学研究科, 助手 (70303873)
香川 文庸 帯広畜産大学, 畜産学部, 助手 (10291238)
稲本 志良 龍谷大学, 経済学部, 教授 (80026468)
加賀爪 優 京都大学, 農学研究科, 教授 (20101248)
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キーワード | ワイン / ワイナリー / ワイン産業 / 地域活性化 / 国内ワイン市場 / 小規模ワイナリー / 小規模兼業ブドウ栽培農家 / ワイン樽産業 |
研究概要 |
本年は、前年に行った海外調査の結果を踏まえつつ、日本国内のワイン市場および国内ワイナリーの経営に関する実態調査・研究を行った。また、前年に引き続き、海外のワイン産業の実態調査を併せ行った。 まず、国内のワイン市場および国内のワイナリー経営に関する調査・研究の成果の概要は次の4点である。第一に、国産ワインが直面するのは国内市場のみであって、圧倒的な数量とネームバリューを誇る外国産ワインとの競合下にある。第二に、全国的に販路を有し家庭内や外食産業での消費に供されるワイン銘柄は比較的少数であり、多くの銘柄はワイナリーが立地し醸造が行われている地域に限定された販売体制をとらざるをえない。第三に、地方の中小ワイナリーは二つの類型に区分される。一つは、地域の特産品として一過性的な地場消費や土産物として購入され、ワイナリー自体も観光資源として地方自体の支援を受けつつ地域の観光産業への貢献を期待されているワイナリーであり、公的な資金援助を受けている場合が多い(「地域活性化型」)。もう一つは、地域に根ざしたワイン消費の安定的拡大による経営発展を目標に設立され、資金的にも独立し自己完結的な経営を行うワイナリーである(「自己完結型」)。第四に、「地域活性化型」は、地域内の他の観光資源とのストーリー的な結合により相乗的、波及的に地域経済の活性化に貢献しており、ワイナリー経営の事業多角化は生産物の供給、消費の両面から有効な展開方向である。 次に、本年の海外調査では、アメリカにおけるワイン樽産業の実態調査、およびフランスにおける小規模ワイナリーの経営実態調査を行った。とくに、フランスでは、多数の小規模ワイナリーが独自に販売事業を行っていることと、多数の小規模兼業ブドウ栽培農家が存在し、経営の維持が問題となっていることが明らかとなった。
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