本年度はカナダ・オンタリオ州およびマニトバ州での現地調査を中心に研究を遂行する予定であったが、トロントでSARSによる死者が出て危険地域に指定されたため、急遽計画を変更し、平成16年度に行う予定であった東部沿岸4州(ノバスコシア、プリンスエドワード島、ニューファンドランド、ニューブランズウィック)での調査を前倒しして実施した。平成15年8月2日から24日までの23日間、丸山と栗原は上記4州を訪れ、各州政府および民間団体での聞き取りを行うとともに、資料収集を行った。丸山はノバスコシア州ハリファックスのダルハウジー大学においてブラッドフィールド教授と面会し、カナダ東部における地域経済と地域通貨の使用に関する一般的状況について説明を受けた。プリンスエドワード島では州政府のコミュニティ問題担当官および信用組合、生活協同組合の代表者たちと面談し、地域通貨導入の可能性をめぐって意見交換した。ニューファンドランドでは州政府の地域開発担当官から地域コミュニティにおける信用経済の実情、および地域通貨にかわる相互扶助ネットワークの存在について説明を受けた。ニューブランズウィックでは、栗原と共同で州政府の地域開発および投資関連の担当者にインタビューを行った。栗原はハリファツクスのセントメリー大学学長ドッド教授とカナダ東部沿岸諸州の投資環境全般について意見交換を行うとともに、全4州における州政府の投資関連担当官および、連邦政府傘下のACOA(カナダ大西洋岸経済推進機関)、APEC(大西洋岸諸州経済委員会)の代表者らと面談し、日本からの直接投資の実情および今後の見通しについて情報の提供を受けるとともに意見交換を行った。なお、本年3月14日から22日までの9日間、丸山はトロントを訪れ、今年度調査の補足を行いつつ来年度調査に必要な準備を行う予定である。
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