本年度は、オンタリオ州、マニトバ州およびケベック州の調査を行った。平成16年8月10日から9月2日までの24日間、丸山と栗原は上記3州を訪れ、各州政府および民間団体で聞き取りと資料収集を行った。丸山はマニトバ州ウィニペグで、長らく休眠状態だったウィニペグの地域通貨(LETS)へのインタビューを行なった。再生LETSは、低所得層のネットワーク化とコミュニティ作りに重点的に取り組んでおり、最新の資料も入手した。オンタリオ州では、南部ナイアガラ地方のセント・キャサリンズを訪れ、ウィニペグと同じく低所得層・失業層のネットワーク化をもとにコミュニティ再生を図りつつある地域通貨運営団体のメンバーを訪ねワークショップを持った。また、活動停止中のゲルフの地域通貨運営責任者から、停止に至った事情および今後の方針について展望を聞いた。ケベック州ではモントリオール市を中心に地域通貨の活動をしている5団体の代表からそれぞれ話を聞いた。ケベックの地域通貨運動は、福祉ボランティア重視型からオルタナティブ経済追求型まで、多様化の様相を呈していることがわかった。栗原はウィニペグのカナダ小麦局(CWB)でマニトバ州における穀物投資および貿易に関する説明を受け、さらにマニトバ州政府の政府間業務および通商省(IAT)で、州レベルにおける貿易と投資の全体像について説明をうけた。オンタリオ州では、トロントのJETROで日本の最新の対加直接投資に関する資料を入手し、オンタリオ州政府の経済発展産業省(EDT)および同政府機関であるオンタリオ輸出公社(EOI)では、日加間の貿易・投資関係、オンタリオ州の投資政策およびNAFTAの投資環境への影響について聞き取りを行なった。ケベック州では州政府の地域開発・科学技術・経済産業省およびケベック州投資公社を訪ね、日本からケベック州への投資と貿易の現状について聞き取りを行った。
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