研究課題/領域番号 |
14402041
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
山本 健兒 法政大学, 経済学部, 教授 (50136355)
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研究分担者 |
竹内 啓一 一橋大学, 名誉教授
栗原 尚子 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80017623)
熊谷 圭知 お茶の水女子大学, 文教育学部, 助教授 (80153344)
山田 晴通 東京経済大学, コミュニケーション学部, 助教授 (40191324)
寺阪 昭信 流通経済大学, 経済学部, 教授 (30008643)
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キーワード | EU / グローバリゼーション / 文化 / 移民 / 都市 |
研究概要 |
EUによる都市問題への取り組みは、ユーロシティーズによる働きかけを受けて、1980年代末から開始された。当初、その取り組みは、建築物などの文化遺産の保全問題を含む、いわゆる環境問題に限定される傾向があった。ところが1994年にEU構造基金の枠組みでURBANというプログラムが設けられ、さらに1997年に欧州委員会によって発行された文書「EUにおける都市アジェンダに向けて」では、グローバリゼーションやEU統合の深化を受けて、都市という場における社会的排除、失業、移民の統合、都市の経済的活力などがより重視されるようになった。URBANプログラムは、都市内で、社会的排除の問題が顕現する特定街区の建て直しのために活用されるプログラムである。 このようなEUあるいはユーロシティーズというレベルでの動向把握とともに、研究代表者及び各研究分担者は、都市という現場で「都市アジェンダに向けて」で示された諸問題の具体的顕現の把握に務めた。その結果、例えばベルリンでは、日本で報道されてきたほどには、移民とホスト社会のマジョリティとの間での対立が激しいというわけではなく、移民たちがベルリンを故郷と認識する傾向にあることが判明した。移民をめぐる問題は、イギリス、フランス、オランダなどだけでなく、ローマやバルセロナなど、かつてのアルプス以北への移民送出国においても、中国を含む世界各地からの移民が可視的存在となっており、都市社会・経済においてかなりの存在感を示していることが明らかとなった。 また、パリにおける建造物という形での文化遺産の保全に、パリ市よりもむしろフランス中央政府の力がより大きく働くというフランスの特徴が浮き彫りにされた。ローマでは、1962年に策定された都市計画に取って代わる新しい都市計画が2003年に市議会で採択された。これの特徴は、緑地保全、文化遺産保全、多核化の促進などにみられる。
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