研究概要 |
平成9〜10年度にかけて,科学研究費補助金(国際学術研究)において,北マリアナ諸島を中心とする地域でGPS観測を実施した.その結果,グアムを含む北マリアナ諸島がフィリピン海の剛体部分と異なり,数cmの速度でフィリピン海に相対的に東に移動していることが明らかとなった.しかしながら,そこで求められた北マリアナブロックの剛体的回転のオイラー極位置は地質学・地形学的に認められる北マリアナの拡大開始場所からかなり南に寄った位置であった.そこで,より正確なオイラー極位置を推定するため,本研究で再度北マリアナ諸島においてGPS観測を実施すると共に,前回観測できなかった北マリアナ北部のアスンシオン島,マウグ島,ウラカス島においてもGPS観測を実施することとした.本年度はまず観測に必要なGPS受信機を購入した. GPS観測は平成15年1月14日〜25日の期間内に実施した.参加者は4名である.先遣隊がまずヤップとパラオに観測点を設置し,17日にサイパンで後発隊と合流した.折から季節外れの台風が接近していたため,北マリアナヘの渡航は2日間延期せざるを得ず,そのため,当初予定していたトラック島行きは中止した.幸い台風はそれたので,1月20日にヘリコプターと船を利用して観測点設置を行った.日程の関係から撤収はサイパンの研究協力者である緊急管理局のJuan T.Camacho氏に任せることとし,全員が1月26日までに帰国した.本報告執筆時には観測資材がまだ戻ってきていないが,戻って来次第観測データの整理及び解析に着手する予定にしている. なお,前回までの観測で一応の成果が出ていること,並びに最近のデータ解析技術の進展を考慮し,データ解析に関してはこれまでのBerneseソフトウエアからGIPSYソフトウェアに変更し,再度1992年以来の全データの解析を実施する予定である.
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