研究分担者 |
浜野 洋三 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (90011709)
磯崎 行雄 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (90144914)
多田 隆治 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (30143366)
KIRSCHVINK J. L. 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (10345259)
永原 裕子 東京大学, 大学院・理学(系)研究科(研究院), 教授 (80172550)
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研究概要 |
本研究は,その詳細がほとんど理解されていない原生代初期の氷河性堆積物の地質調査によって,原生代初期にスノーボール・アース現象(全球凍結現象)が生じた可能性について実証的に検証することを第一の目的とする. 初年度は,原生代初期の堆積物が露出する南アフリカ共和国とカナダにおいて予察的な地質調査及び岩石試料採取を行った.まず,2002年7月29日-8月9日,カナダ・ヒューロン湖北岸の三地域(Espanola Wedge地域,Elliot Lake地域,Cobalt Embayment地域)約40地点において,ヒューロニアン累層群の調査を行った.ヒューロニアン累層群には,原生代初期における氷河堆積物が三層準存在することを確認した.全般的に,露出はきわめて良好であるが,年代測定可能な火山灰層等はほとんどみられず,地層は弱変成を受けていた.その中では,変成度が一番弱いCobalt Embayment地域が試料分析に適していると判断される.各地点において岩石試料採取を行ったほか,数地点において古地磁気測定用の岩石試料を採取し,現在分析を行っている. 一方,2002年9月7日-18日,南アフリカ共和国のGriqualand West地域周辺に露出するトランスバール累層群の調査を行った.全般的に,堆積物はあまり変成を受けていないものの,その露出状況はきわめて貧弱であり,露頭がほとんど存在しないことが判明した.詳細な分析を行うためにはボーリング掘削試料を入手する必要があり,今後の検討課題である.また,今回の調査によって,氷河堆積物に特徴的なドロップストーンの存在がはじめて確認された.また採取した岩石試料の薄片観察を行った結果,氷河堆積物は流速の変化が激しい浅海環境で堆積したこと,潮汐作用を反映すると思われる堆積構造を持つことなどが明らかになった.
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