研究概要 |
平成14年度にモンゴル側代表者ボルドシューク博士(モンゴル国科学研究総括責任者)がモンゴル国立大学副学長に転出し,「日本-モンゴル国際共同ゴビ砂漠隕石探査計画」の再構築が迫られた.幸いなことにモンゴル科学アカデミー副総裁ガルバータ教授が本計画のモンゴル側代表者に就任し,今後ゴビ砂漠の隕石探査を本格的に進めることで合意した.実際の隕石探査は日本側代表者矢内とモンゴル側ボルチルール氏,通訳,ドライバー,協力者の計6〜7名で実施するこに合意した. 本年度は10月4日から10月22日にかけ6名から成る日本-モンゴル合同の調査隊を編成し、隕石探査を実施した.今回はウランバートルより南下し,サインシャンド・ハンボクド・ダランザドガド・マンライ周辺のゴビ砂漠南東部を中心に探査した.走行距離は2,740kmに及んだ.まずサインシャンドの博物館にて,地球の岩石とされていた標本の中から石質隕石のコンドライト(Nartin had原重量1,946g)を確認した.モンゴル国の第7番目の隕石である.研究のためこの隕石の906gを日本側が受け取り,現在研究中である.なを当博物館に隕石として展示されていた2個の標本は地球の岩石(礫岩)と銑鉄であった.本格的な探査は砂漠や隕石クレーターの周辺において実施した.同時に訪問した町や集落の博物館(資料館)も調査したが,新たな隕石の発見はなかった.特にこの地域に隕石の可能性の高い砂漠は多くなく,本格的な隕石探査はゴビ砂漠の中央部から西部にかけて実施すべきであるとの印象を強く持った.次年度以降の隕石探査に期待したい. 最後にアカデミー副総裁から,現在モンゴル国には隕石研究者が皆無なので,是非この分野でも研究者を育てたい.そのためにも,ゴビ砂漠での隕石発見が非常に重要なので,モンゴル側としても本研究を全面的にバックアップするとの確約を得た.本研究でゴビ砂漠から月隕石・火星隕石等の希少隕石や新種隕石の発見を大いに期待している.
|