研究課題/領域番号 |
14403014
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
浅川 義範 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (50033874)
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研究分担者 |
豊田 正夫 徳島文理大学, 薬学部, 講師 (50122586)
橋本 敏弘 徳島文理大学, 薬学部, 助教授 (10075955)
通 元夫 徳島文理大学, 薬学部, 教授 (90163956)
長島 史裕 徳島文理大学, 薬学部, 助手 (60228012)
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キーワード | 蘇苔類 / 苔類 / ビスビベンジル類 / LC-MS / GC-MS / セスキテルペン類 / 進化 |
研究概要 |
ニュージーランドで採集した苔類はいずれも少量であったため、設備備品の高速液体クロマトグラフシステムで効率良く各成分を単離し、機器分析により以下に述べる新たな知見を得た. 1.日本産のゼニゴケ(Marchantia)にはMarchantin Aをはじめとする一連のビスビベンジル類化合物が多種含まれている.ゼニゴケ属の化学系統分類を行う上で重要な属の指標となる化合物である.すなわち、この様な化合物は過去の研究ではMarchantia foliaceaeから報告されておらず、ニュージーランド産のMarchantia属には含まれていないのが事実なのか精査する必要があった.研究の結果、本種エーテル抽出物から5種のビスビベンジルを得た.そのうち2種のビスビベンジル化合物は新規化合物であった.この結果は日本産およびニュージーランド産ゼニゴケは同じ二次代謝産物を含むことを最初に明らかにした例である.また、本種から日本産トサノゼニゴケにも含まれる新規ブテノライドを単離した.さらにTrichocoleopsis sacculata(イヌムクムクゴケ)から最初に報告され、Porella perrottetiana(クラマゴケモドキ)からも、その後に単離された苔類に固有の成分であるSacculatane型新ジテルペンを得た. 2.ニュージーランド産スギバゴケ(Lepidozia)属苔類Lepidozia setigeraの化学成分について研究を行った結果、2種の新規化合物を単離し、スギバゴケ属の指標となるセスキテルペンであるイソビシクロゲルマクレナールを得た.また、単離した2種のセスキテルペンアルコールは既に紅藻類Laurencia suboppositaから報告されている化合物であることが判明した. 3.Chiloscyphyus mittenianusはフジウロコゴケ属に分類され、そのエーテル抽出物から2種の新規ジテルペンを単離し、1種の新セスキテルペンアルコールを単離した.本属の化学成分的な特徴はセスキテルペンが多種含まれることであったが、ニュージーランド産の本種にはpimarane型ジテルペン、trachylobane型ジテルペンが含まれることを明らかにした.新規セスキテルペンはmaaliane型炭素骨格の化合物であった.スギバゴケ属からジテルペンおよびmaaliane型セスキテルペンが単離されたのは今回が最初の例である.
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