研究概要 |
今年度はニュージーランド産19種(Bazzania hochstetterii, Chiloscyphus subporosus,未同定Chiloscyphus, Herbertus alpinus, Heteroscyphus billaridieri,未同定Heteroscyphus, Hymenophyt on frabellatum, Jamesoniella colorata, Jungermannia, Marsupidium epiphytum, Monoclea forsteri, Plagiochila cricinalis, P.deltoidea, P.fascuculata, P.incurvicolla, Radula sainbishuriana, Schistochila nobilis, S.glaucescens, Trichocolea mollissima, Tylimanthus tenellus)およびマダガスカル産2種(Isotachis aubertii, Mastigophora dicrados)の苔類の化学成分について研究を行い、ラブダンーフシコカン2量体プレニルビベンジル類、地衣成分であるヴエルビン酸およびその類縁体フムラン型セスキテルエステル、光学対掌体オイデスマン型セスキテルペン、ヘルベルタン型セスキテルペン、クレロダンジテルペン、変形クレロダン型ジテルペン、エントーオイデスマン型セスキテルペン、プレニルエーテビベンジル、ビスビベンジルなど各種の指標化合物を決定H.flabellatumの強烈な辛味は1(2,4,6-trimethoxypheny)-but-trans-2-en-1-oneであり、その類縁化合物を7種単離した。本辛味成分は日本産シダ植物リョウメンシダの辛味成分と同一であり、このことは苔とシダの進化を推察する上で重要な知見である。ニュージーランド産Jungermannia trunctaから得られるカウレン型ジテルペンは強力ながん細胞(Human Leukemia HL-60 cells)自殺活性を有することが判明した。またNZ産苔成分と比較するため2種の本邦産苔類について成分研究を行った。これまでの化学データに基づき苔類ウロコゴケ亜綱36科ゼニゴケ亜網7科の化学系等分類について47ページの総説にまとめた。
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