研究概要 |
3基の橋梁に対して詳細設計図および地質データに基づく動的解析を実施し,損傷状況および損傷程度の対比から,解析の再現性を評価するととともに,損傷原因の推定を実施し,以下の結果が得られた. 1)集鹿大橋(PC斜張橋) ・曲げモーメントと軸力により,未施工部の主桁断面に作用する応力度はコンクリートの設計基準強度を超えており,今回のような地震波が作用した場合には,コンクリートの圧縮や軸方向鉄筋の座屈のような大きな損傷が生じる可能性があることが分かった. ・橋軸直角方向における主塔部の損傷原因について,非線形時刻歴応答解析を行うことにより,橋脚基部は5次モード,主塔基部は9次モードの高次の変形モードが卓越することによって降伏に達し,非線形応答が進展していく危険性があることがわかった. 2)長康橋 ・桁衝突を考慮した非線形動的解析の結果,上部工慣性力により支承が破壊後,桁が衝突を伴いながら橋脚上を滑り,橋台背面土まで桁がめり込む現象をシミュレーションにより確認できた. ・長康橋の橋台のように,パラペットのせん断耐力が比較的小さい場合,入力地震波形によっては桁が橋台にめり込むような被害が生じる危険性があることがわかった. 3)石圍橋 ・P2橋脚の橋軸直角方向への回転により,D5桁は回転挙動を示し,橋軸方向へ0.48m水平変位することが,強制変位解析により確認できた. ・支承耐力をパラメータとした動的解析結果から,支承部の抵抗力が鉛直地震動等の影響により0.1Rd程度に小さい場合に,D5桁は地震動により落橋に至る可能性があると推定される.
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