研究分担者 |
安田 亨 パシフィックコンサルタント(株)大阪本社, プロジェクト部・技術課(研究職), プロジェクトリーダー
西山 哲 京都大学, 工学研究科, 助手 (00324658)
大西 有三 京都大学, 工学研究科, 教授 (30026348)
李 圭太 (株)建設技術研究所大阪支社, 環境本部技術部(研究職), 課長
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研究概要 |
本年度は,研究の第一ステップとして,ベトナム・タイの都市部での現況の地下水環境を把握するための基本データとなる,既往の地下水に関連する計測データの収集・分析を実施した.具体的には,ハノイおよびバンコクにおいて収集した関連データは,それぞれ以下のように要約される. ハノイの地下水環境に関する調査結果としては,1990年代の都市部の開発に伴う地下水の汲み上げ状態と、大ハノイ地区での地盤沈下の発生状況に関する調査結果を入手した.そのデータの分析結果より,同地域における広域地下水流動特性として,ファン河(Red River)からの地下水涵養量を上回る地下水が,農業用水として利用されており,これに伴い広範囲の地域に地盤沈下が生じていることが明らかとなった. 一方,バンコクの地下水環境に関する調査結果としては,地下水位・地盤沈下量の観測結果,及びボーリング調査に基づく地質区分データ・土質調査結果を入手した.同調査結果より,以下の事項が明らかとなった. 1)過去20年間の急速な都市部の発展に伴い,生活用水・工業用水等の確保を目的として地下の滞水層から大規模な地下水の汲み上げを実施したことに起因して,大規模な地盤沈下が生じ,建物・道路に甚大な被害が発生している. 2)対象地域はバンコク中心部6,160km^2と広範囲に及んでおり,1981年〜1998年での最大地下水位低下量30m,最大沈下量88mmと甚大なものとなっている.現状では,部分的に取水制限を実施したことで,地表面沈下速度は低減されつつあるが,今後のバンコク地域で更なる都市部の拡大に対応するためには,依然として生活用水等を滞水層からの地下水の汲み上げによるに依存せざるを得ない状況にある
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