研究課題/領域番号 |
14404007
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 和夫 東京大学, 環境安全研究センター, 教授 (60143393)
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研究分担者 |
福士 謙介 東京大学, 環境安全研究センター, 助教授 (30282114)
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キーワード | 多環芳香族炭化水素 / 沿道環境 / バンコク市街 / エアロゾルセンサー / pPAH / コメットアッセイ / リスク評価 / 時系列解析 |
研究概要 |
今年度は、2月からの継続調査として4月に1回、9月に1回の現地調査を行った。4月の調査では、ポトスの葉を用いた遺伝子損傷性試験(コッメトアッセイ)を、バンコク市街地の沿道6箇所において実施した。別に東京でも測定の前提となる再現性試験を行った。うち1箇所は、前年度調査したバンコク高架鉄道(BTS)プラカノン駅の沿道バス停、店舗内1階、3階などpPAHデータと同じ場所で調査し、傾向の比較を行った。あいにく、BTSによる調査の許可が下りなかったため、駅敷地内の測定ができなかった。そのため、9月の調査では大気汚染制御局の許可を得て、沿道測定局3箇所(チョクチヤイシ、ゲインデン、インタピセック)、一般測定局2箇所(クロンチャン、ノンスリ)で、1ヶ月間のPAS(光電子エアロゾルセンサー)を用いたpPAHの連続モニタリングを行い、大気汚染制御局で測定している窒素酸化物、酸化炭素、浮遊粒子、気象量等と比較しつつ時系列解析を行った。また、粒径別粒子捕集器を用い粒子を収集し、pPAHのうち発ガンのユニットリスクが与えられているベンツピレン等の12種のPAHをGC/MSを用いて定量し、粒径別にPAS出力との関係を定めた。4月の調査により、ポトスの葉の遺伝子損傷性を予測する交通量や沿道の幾何形状を説明変数とした重回帰式を得た。pPAHについての同様な重回帰式とあわせて次年度の都市交通量管理にたいする提言シナリオの評価のための基礎データを得た。9月の調査においては、早朝のピークが例外なく現れること、沿道環境の方が暴露濃度のレベルが数倍大きいこと、特徴的な周期に0.33日があり、交通量との関係が深いこと、窒素酸化物にも0.33日に周期が同様に現れるが、窒素酸化物は局所的風向の影響を強く受け、特徴的な5.1日の周期を見せること、逆にpPAHにはその特徴がなく、その意味でより平均化された影響を受けることが推察された。
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