研究課題
基盤研究(B)
本年度も、前年度と同様、大気汚染制御局の許可を得て、沿道測定局3箇所(チョクチャイシ、デインデン、インタピセック)、一般測定局2箇所(クロンチャン、ノンスリ)で、1ヶ月間のPAS(光電子エアロゾルセンサー)を用いたpPAH(粒子付着多環芳香族炭化水素)の連続モニタリングを4月(乾季)に行なった。前年度9月(雨季)と比べて、全体的に濃度レベルが予想に反して低下すること、これは交通量というより季節的な風向パターンの違いが大きな要因であることがわかった。さらに、粒径別粒子捕集器を用い粒子を収集し、pPAHのうち発ガンのユニットリスクが与えられているベンツピレン等の12種のPAHをGC/MSを用いて定量し、粒径別の影響を調べた。粒径別のPAH組成に関しては、クラスター分析により粒子径1μmを境に組成が大きく異なることがわかり、1μm以上の大きな粒子の組成が雨季と乾季で異なることがわかった。これは雨季のスコールにより大きな粒子の滞留時間が減少し、低分子PAHの存在比が増すためと考えられる。別に、自動車起源のPAS出力原単位を算出するための測定(大型自動車16台、小型自動車12台、標準走行モード試験)を、大気汚染制御局の協力を得て行った。pPAHで捉えても大型ジーゼル車の排出原単位が大きいこと、天然ガス車の排出原単位が1オーダー低いことなど、定量的に評価できた。これらの現地調査は、チュラロンコン大学の研究協力者タッサニー博士と共同で行なった。また、昨年度からの現地調査データを用い、また入手できる交通量データや今後のバンコク地下鉄や新交通システムへのモーダルシフトや車種規制等のシナリオなどをもとに、pPAH曝露リスク低減等の観点から、望ましい交通量管理方策について検討し、報告書にまとめた。
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Air Pollution XIII, WIT Press (In press)
ページ: 12
Air Pollution XIII (WIT Press) (in press)