研究課題/領域番号 |
14404011
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
篠野 志郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (20108210)
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研究分担者 |
元結 正次郎 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60272704)
藍澤 宏 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (70167766)
瀬尾 和大 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30089825)
高橋 宏樹 ものつくり大学, 技能工芸学部, 講師 (60226876)
羽深 久夫 札幌高等専門学校, 助教授 (50280318)
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キーワード | アルメニア建築 / リュプシメ / マルマシェン / 写真測量 / 常時微動 / モルタル特性 / 設計基準寸法 / 集落意識調査 |
研究概要 |
初年度に当たる本年度は、悉皆的な調査を含みながら、一部の遺構について重点的に調査を実施した。調査期間はアルメニア共和国において、平成14年9月13日から10月8日の約1ヶ月間で、20棟強の7世紀から13、4世紀にわたる遺構を対象としている。既に、前回の調査研究で判明した、初期アルメニア教会堂の完成型と推定されるリュプシメ教会堂を起点として、その後の中期に及ぶ遺構の建築発展の系統を明らかにすることと、ビザンツ建築の中期の建築形式との関係を探るため、上記の調査対象の内、リュプシメ、ザルンチャ、マルマシェン・テゲールの各教会堂に対しては、写真測量を初めとする、詳細な遺構調査を実施した。これらの遺構については、次年度も継続的に調査を実施する予定である。本年度のこうした調査から、これまで継続的に行ってきたが、明確な成果を出していなかったアルメニア建築における設計寸法に対して、一定の仮説を提起することができた。すなわち、一部の建築ではローマ・ビザンツに準拠した寸法体系と設計手法が用いられている可能性を明らかにした。また、写真測量と実測から図化を行い、これまで初期の形態を踏襲していると考えられるリュプシメ教会堂の構成が、中世に変更された可能性を指摘できた。さらに、建築遺構の常時微動測定やモルタル材料の特性を調べることで、アルメニア建築の構造・材料的特徴を把握した。これらは今後、より精度を高めてゆく予定である。また、将来の保存に向けて、アルメニア社会が遺構の維持管理に対して、どのように考えているのかを理解するために、サルモサバンクとマスタラの集落で、村民に対する初期的な聞き取り調査を実施した。本調査の成果は、建築学会の本年度の支部研究報告集に報告されている。
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