研究概要 |
中国における耐乾燥性ゴム産生植物の探索 1.中国ウイグル自治区西部(パミール高原・ホータン地域:カシュガル地方(アフガニスタン・パキスタン国境)ホータン),中国寧夏回族自治州(銀川:黄河中流域)において昨年に続き乳液ゴムを産生するキョウチクトウ科のApocynum venetumとPoacynum hendersoniiの生育地調査を実施した。前地方では両種を総称してLobumaと表現しており乳液を接着剤に師部組織を繊維として用いている。後地域ではApocynumのみが分布し野茶と表現されている。両地も年間雨量100mm以下の極乾燥地である。詳しく調査した結果,経度110°以西地域にはApocynumとPoacynumの両種が存在し同経度東北地域にはApocynumのみが分布していることが判明した。また,カシュガル地方からパミール高原・カザフスタンにかけては根茎にゴムを蓄積するゴムタンポポ(Taraxacum koksagbyz)が存在し,1960年代に集中的にゴム生産の可能性が調査されたが全草を抽出しなければならないので現在では利用されていない。しかし,これらゴムタンポポの野生種が同地域では多く存在し貴重な遺伝資源の宝庫であることが分かった。 2.中国河南省西部の黄土高原(降雨量800mm以下)でトランス型ゴムを産生するトチュウ(Eucommia ulmoides)のゴム栽培に実用性を調査した。3年生以上の成木を台木として雄性または雌性の精英樹を芽接ぎしてクローン化し環状剥離処理等により栄養生殖へ転換させることによって,大量の種子を結実させることに成功した。この種子からは子葉から油脂15%と果皮からゴム10%(分子量10^5M)の採取が可能であり経済林として十分に成立することが判明した。
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