研究課題/領域番号 |
14404013
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田中 一義 京都大学, 工学研究科, 教授 (90155119)
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研究分担者 |
吉田 孝紀 信州大学, 理学部, 助教授 (00303446)
千々和 一豊 山口大学, 教育学部, 助教授 (50217238)
大澤 映二 (有)ナノ炭素研究所, 基礎研究部門, 研究員 (40001763)
伊藤 彰浩 京都大学, 工学研究科, 助手 (90293901)
横尾 俊信 京都大学, 化学研究所, 教授 (90158353)
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キーワード | シュンガイト / フラーレン / 炭素物質 / 水熱処理反応 / 弱衝撃加熱 / ロシア連邦 / カレリア共和国 |
研究概要 |
平成15年度前半は、14年度に現地・ロシア連邦カレリア共和国のオネガ湖北岸地域一帯のシュンガイト鉱石産出地において採取したシュンガイト鉱石試料の分析を行った。これにより、炭素含量約95%であるタイプ1の鉱石から、可視・紫外吸収スペクトル測定によりフラーレン分子(C_<60>)の同定ができた。含有量は19ppm程度であった。このように低含有量であるために、^<13>C-NMRによる同定は不可能であったが、約20億年前(先カンブリア時代)に堆積した炭素富裕鉱物層の中にフラーレン分子が存在していることを確認できたことは興味深い。 さらに15年度の調査では、再度上記オネガ湖北岸地域および西北地域で産出される、低炭素含有鉱石(タイプ2-5)の産状と周辺の岩石層の研究を行った。これらの知見からすると、シュンガイト鉱石に含有される炭素の起源は、当時の海水中の真核生物であるシアノバクテリアの可能性がある。日本に持ちかえった試料に対して、現在、研究代表者及び各研究分担者の役割分担に応じて、フラーレン系炭素や非晶質炭素の含有状況、含有される金属成分の同定、及び炭素物質を含む堆積岩全般の調査の含有状況の観察・測定が進行中である。 例えばこの中で、タイプ1の源岩が、地層中を流動して数十km程度の範囲に離散して砂岩系地層に岩脈状に貫入して一部貯留したと見られるパンケーキ型試料からは、フラーレン分子(C_<60>)は容易には検出できなかった。これは、タイプ1を採取したシュンガ鉱床以外では、フラーレン分子が含まれにくいことを示唆する。さらに、14年度に採取した鉱石中の金属成分の含有量を分析したところ、ナトリウム成分が少なくカリウム成分が多いという特異的な結果も得られている。
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