研究概要 |
本研究結果は既にいくつかの公表論文としてまとめられているおり,また複数の国内及び国際学会において発表を行っている.本研究は,研究分担者以外にも多くの特に東南アジア地域の外国人研究者の協力を得て行われた. 本研究は,地熱地帯におけるシリカシンター(珪酸塩沈積物)の特徴付けから,地熱地帯の熱水活動や地熱プロセスを理解することを目的としている.特に,中央モンゴルのシュガルジュート温泉地帯,ニュージーランド テコピア地熱地帯とワイオタプ地熱地帯を研究対象としている.これらの活動的及び化石地熱地帯においてのシリカ沈殿物の状態,およびポーフィリー銅鉱床(モンゴルシューティーン複合岩体;ウランバートルのより南方 500kmに位置する)の変質地帯に形成された高温度の石英脈などの野外地質学的検討を行うとともに,実験室レベルでのSEM-CL(石英脈の詳細な組織解析が可能)などの解析手法を開発し,熱水活動のイベントの詳細解析を行った.また,地熱流体の分析,岩石試料の組織,変質程度,流体包有物の分析などを検討し,野外研究結果と室内実験結果を融合させて,地熱地帯におけるシリカの挙動と地熱活動の評価を行った.特にSEM-CLと流体包有物の均質化温度と塩濃度を石英の組織ごとに明らかにすることにより,複数の熱水活動により形成された石英ごとに地殻流体の特性を把握することが可能となった.本研究の最も大きな成果である.これらの研究により,熱水活動とこれにともなう石英脈形成プロセス,および地熱活動の盛衰を評価する新たな研究方法を開発することができた.
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