研究概要 |
先進諸国では高度道路交通システム(ITS, Intelligent Transport Systems)の研究開発が進んでおり,さまざまなシステムが実用化されるようになってきた.ITSのシステム開発では効果の正確な計測と評価が必要であるが,そのためには利用者の行動,とりわけ道路ネットワーク上でのドライバーの情報利用行動と経路選択行動を把握するとともに,効果計測のためのネットワークシミュレーションモデルの開発が必要である.本研究の目的は,トポロジカルな構成や機能といったネットワーク特性の異なる複数の国々と地域においてドライバーの交通情報利用,経路選択行動を比較検討し,ネットワーク特性や利用者特性を考慮した交通情報提供のあり方を検討するための知見を得ることにある.平成14年度は以下の手順で研究を進めた. (1)ITS効果計測に関する既存研究の国際比較と体系的整理:ITSの効果計測手法に関して,我が国および海外諸国(英国,豪州,伯国,米国等)における既存の研究動向を調査し,国際比較を行うとともにそれらを体系的に取りまとめた. (2)道路ネットワーク特性の異なる地域での経路選択行動調査の計画と予備調査:仮想的なネットワークと交通条件の下での経路選択行動および実ネットワークでの経路選択行動に関する基礎データ収集の調査用プログラムを開発し,調査計画を策定するとともに,豪州・英国での予備調査を実施した. (3)交通情報を提供されたドライバーの情報認識と経路選択行動に関する調査の計画:異なったネットワーク上で提供される多様な交通情報に対するドライバーの認識・評価および情報の利用と,情報の有無による経路選択の相違を分析・モデル化するための調査実施計画を策定した.
|