研究課題/領域番号 |
14405007
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
江口 和洋 九州大学, 大学院・理学研究院, 助手 (60136421)
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研究分担者 |
高木 昌興 大阪市立大学, 大学院・理学部研究科, 講師 (70311917)
永田 尚志 国立環境研究所, 生物多様性研究プロジェクト, 主任研究員 (00202226)
上田 恵介 立教大学, 理学部, 教授 (00213348)
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キーワード | 協同繁殖 / ヘルパー / 血縁度 / ハイガシラゴウシュウマルハシ / セカオーストラリアムシクイ |
研究概要 |
平成15年7月より平成16年2月にかけて,オーストラリア・ノーザンテリトリー準州ダーウィンにおいて協同繁殖鳥類の野外研究を行った.昨年度の成果を受けて、今年度は対象2種(Grey-crowned BabblerとRed-backed Fairy-wren)の社会構成・繁殖生態・行動生態に関するデータ、および遺伝解析のための血液標本の収集および採取を行った。 Grey-crowned Babblerは、7月〜12月の繁殖期間に全21グループを確認し、昨年度分を含めて72個体(全個体群の90%)を捕獲標識し、遺伝解析のための血液標本を採取した。グループサイズは2個体〜6個体、各グループは繁殖つがいに1〜4個体が付随した協同繁殖を行っていた。19グループについては、直接観察およびビデオ撮影によって、グループ構成員の繁殖行動を観察し、各個体の繁殖への貢献度に関するデータを収集した。高い捕食圧のため、繁殖成功は低く、全21グループ中巣立ちに成功したのは9グループのみであった。本年度の調査により、本種が協同繁殖種としては稀な、雌雄ともがなわばり防衛やヒナへの給餌を手伝うヘルパーとなる社会形態であること、また、ヘルパー(劣位)雌が繁殖し、同一巣に複数のメスが産卵すること(ジョイント・ネスティング)、個体の貢献度に大きなバラツキがあることなどが明らかになった。また、CHD遺伝子による性判定によりグループ構成個体の性別を明らかにした。 Red-backed Fairy-wrenについても50個体を捕獲標識し、血液標本、および個体の体調を評価する成長線の解析のための尾羽の採取を行った。本種は2個体〜4個体のグループで観察され、11月頃より雄が徐々に婚姻色に換羽し、繁殖にはいる。12〜2月に社会構成、繁殖生態、繁殖行動のデータを収集した。 来年度には、これまで蓄積した血液標本を基に、グループ個体間の血縁関係および各メンバーの繁殖への遺伝的寄与を明らかにする予定である。
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