研究概要 |
ホタルを代表とする発光甲虫は世界的に分散拡散する典型的な生物で、進化分散を考える上で貴重な研究対象である。これは発光という生理現象が、比較的新しい時代に獲得した形質であることから、発光生物を探ることは、今、生息する生物群の拡散を知る上で重要であると考えられるからである。本研究では、ホタルのルーツとして中国雲南省地域を注目し、中国雲南省の現地調査を計画した。03年12月に中国雲南省昆明周辺、04年6月は雲南省南西部ラオス国境付近、そして本年度05年6月は雲南省シーサーパンナ地方からミャンマー国境付近の南部地方を調査研究を行った。その結果、ゲンジ、ヘイケボタルの近縁種と思われる半水棲ホタルを発見した。これは水棲ホタルの進化、拡散を考える上で重要な新規な知見である。これ以外にも日本産ホタル群と類似性の高い10数種のホタルを発見した。一方、日本産、中国産ヒカリコメツキムシのm t DNAの全配列を決定し、論文を作成、投稿した(Xueyan Li, Katsunori Ogoh, Nobuyoshi Ohba, Xingcai Liang, Yoshihiro Ohmiya. Mitochondrial genomes of two luminous beetles, Rhagophthalmus lufengensis and R.ohbai (Arthropoda, Coleoptera). )。現在、順次採取したホタルの遺伝子解析を行っている。
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