研究課題/領域番号 |
14405013
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
荒谷 邦雄 九州大学, 大学院・比較社会文化研究院, 助教授 (10263138)
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研究分担者 |
近 雅博 滋賀県立大学, 環境科学部, 助教授 (00211912)
岩田 隆太郎 日本大学, 生物資源科学部, 助教授 (90213298)
松本 忠夫 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (90106609)
前川 清人 富山大学, 理学部, 助手 (20345557)
北出 理 茨城大学, 理学部, 助手 (80302321)
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キーワード | 食材性昆虫 / 系統生物地理 / ミトコンドリアDNA / 16_<sr>RNA / 共生 / 北半球 / 温帯林 / 隔離分布 |
研究概要 |
平成14年度は安全に渡航でき現地協力体制も確立されていた台湾(中部の山岳地帯)とラオス(北東部の山岳地帯)を調査研究対象地域として、それぞれ11月上旬と3月上旬に現地調査を実施した。調査地では、参加者全員が各種食材性昆虫類の標本採集、生息木材に関するデータ収集と分析用サンプルの採取、シロアリやゴキブリに関する社会構造や巣中の同居昆虫群集に関する調査を行った。 その結果、台湾ではキゴキブリの巣内に同居するエグリハナムグリの生態をはじめて明らかにした他、従来の分布記録を塗り替える新知見を得た。また、ラオスではシロアリの巣中に同居する特異なハネカクシの未記載種をはじめ、マダラクワガタの未記載種、オオシロアリの未記載種などを発見するとともに、多数の分布上の新知見を得た。これらの成果は食材性昆虫の系統生物地理学上極めて意義深く、その一部はすでに学会発表や論文としてまとめられている。 さらに現在、持ち帰った標本やサンプルに基づいて、正確な同定作業や16SrRNA遺伝子を中心としたDNA系統解析が進められつつある。今後、採集した各種食材性昆虫の系統を明らかにし、脂肪体内の共生バクテリアの16_<sr>RNA遺伝子解析を比較し、分岐年代の推定も行う予定である。また、木材サンプルに関してはC/N比や安定同位体比、セルロースやリグニンなどの木材成分の測定を行い、各種食材性昆虫の持つ生息材の特徴や資源利用方法等の生態的特性をも明らかにすることで、系統進化に関する考察を深めていく。
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