研究分担者 |
渡邊 邦秋 神戸大学, 理学部, 教授 (80031376)
河原 孝行 森林総合研究所, 札幌支所, 研究室長(研究職) (90221902)
三島 美佐子 九州大学, 総合研究博物館, 助手 (30346770)
比良松 道一 九州大学, 大学院・農学研究院, 助手 (30264104)
副島 顕子 大阪府立大学, 総合科学部, 助手 (00244674)
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研究概要 |
今日の分類学者に課せられた1つの課題は、顕著に適応放散を遂げたグループの系統関係をグループ全体にわたって徹底して解析し、形態的・生態的多様化に関するすぐれたケーススタディを提示することである。ステビア属(キク科ヒヨドリバナ連)は、メキシコを中心に、1年草・多年草・低木が分化しており、このようなケーススタディの格好の材料である。 研究代表者らはこれまで、主としてメキシコにおいて、ステビア属の研究材料を収集し、種間の系統関係などについて成果をあげてきた。しかし、以下の問題が未解決である。これらを解決することが本研究の目的である。 (1)Stevia origanoidesなど、分布が広く多型的な「種」が単系統かどうか。 (2)南米には約130種が知られているが、これまで無融合生殖を行う倍数体が報告されていない。本当に無いのかを確かめたい。無ければ、それはなぜか、有るとすれば、どの程度の頻度でどのような地域に見られるか。 (3)メキシコ産の種が南米産の種とどのような系統関係にあるのか。 上記の3つの問題を解決するために、以下の研究を行なった。 (1)Stevia origanoidesに注目し、いくつかの地域で集中的な調査を実施した。その結果、形態的・生態的に異なる2つの2倍体有性型が同所的に生育しているケースをDurango, Jalisco, Guerreroなどで発見した。これら2倍体有性型が同所的に種分化したのか、それとも異所的に種分化したあとで二次的に同所性を達成したのかを、AFLP解析によって調べた。この解析に必要なDNA資料を得るため、Jalisco, Guerrero, Mexico, Oaxacaで現地調査を実施し、新たにDNA資料を収集した。得られた資料にもとづくAFLP解析の結果、Stevia origanoidesはいくつもの隠蔽種を含み、これらの中には同所的に種分化したと考えられる場合もあれば、異所的に種分化したと考えられる場合もあった。 (2)ブラジル産ステビア属の染色体研究用資料を得るために、Sao Paulo, Santa Catarina, Roi Grande do Sulで野外調査を実施した。これらの資料にもとづき染色体数を調査した結果、これまでに調べたすべてのブラジル産種は有性生殖を行う2倍体であった。 (3)ブラジルにおける現地調査において、DNA抽出用の葉の乾燥資料を収集した。これらの資料からDNAを抽出し、ITSの配列を決定し、これまでに得られたメキシコ産ステビア属の各種のITS配列と比較し、ブラジル産の種の系統的位置を確定する作業を進めた。
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