研究課題
基盤研究(B)
汎熱帯海流散布植物は海流による種子散布を行い世界の熱帯海岸域に広く分布する。これの種分化過程と、広い分布域内での種のまとまりの維持に必要な遺伝子交流の程度を明らかにするため、世界の熱帯・亜熱帯域で収集した広範なサンプルについて分子マーカーを用いた集団遺伝学的解析を行った。アオイ科のオオハマボウ類の解析では、近縁4種がいずれもオオハマボウを母種として分化した可能性が示唆された。また、オオハマボウは太平洋、大西洋、インド洋のそれぞれの地域内では大きな遺伝的な分化は見られず、種子の海流散布による頻繁な遺伝子流動が示唆された。一方、中・南米に分布するHibiscus pernambucensisでは、太平洋岸と大西洋岸とで大きな遺伝的分化が見られ、この分布域を縦断する地峡が遺伝子交流の障壁となって来たことを示している。さらに大西洋側ではオオハマボウ種子の海流散布による、オオハマボウからH.pernambucensisへの大規模な遺伝子浸透の可能性が示唆された。グンバイヒルガオ(ヒルガオ科)は、全世界に広く分布するsubsp.brasiliensisとsubsp.pes-capraeの2亜種が知られている。いずれの亜種も海流による種子散布を行うが、両者の分布域はインド洋で接していて、その間に明瞭な地理的障壁はない。AFLPマーカーを用いた解析では、この2亜種間の遺伝的な分化を確認した。一方、グンバイヒルガオの遠隔の集団間でも遺伝子流動が起こっていること、集団間の地理的な距離は遺伝的距離にある程度相関していることが明らかになった。マメ科のナタマメ属は4亜種50種からなり、このうちナガミハマナタマメなど数種は海流散布を行い非常に広い分布域を持つ。核DNAのITS領域を用いた系統解析では、ハワイ固有のMaunaloa亜属は、海流散布種ナガミハマナタマメがハワイまで流れ着いたあと、海流散布を行わない種へと急速に種分化したものであることが示唆された。
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