研究概要 |
本年度はアルゼンチンのネウケン州を中心としたパタゴニアの自生地調査を行った。期間は平成14年10月26日から平成14年11月16日、現地での総走行距離は4161Kmに及んだ。調査前には予期できなかったが、昨年の冬が例年になく厳しく長いものだったため、調査時には開花していない植物が多く、採集できたナス科植物は11属(Calibrachoa, Datura, Fabiana, Jaborosa, Leptoglossis, Lycium, Nicotiana, Pantacantha, Physalis, Salpiglossis, Solanum)約18種39アクセションに留まった。内訳は標本39、種子10、生植物8、DNA38アクセションであった。 採集した生植物は現地共同研究者のもとで栽培・評価中である。 採集した種子は日本に持ち帰り、一部は千葉大学園芸学部において栽培を開始した。今春開花次第、鑑賞性、交雑親和性の調査を行う予定である。 現地で採取した全DNAは、葉緑体DNAのtrnKおよびtrnT-L-F遺伝子間スペーサー領域をPCR法で増幅後、塩基配列を決定し、研究代表者が既に得ている広義のPetunia属および近縁属であるBenthamiella, Nierembergiaのデータと統合して分子系統を分析中である。明確な結論はまだ得ていないが、従来Petuniaとされていた数種がCalibrachoaに属すること、形態的にはPetuniaに近いNierembergiaが分子系統的には遠縁であることを発見した。また、FabianaはCalibrachoaを含む広義のPetuniaと単系統群を形成し、Olmstead and Palmer (1997)が主張したPetuniaとFabianaの近縁性は支持された。
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