研究課題/領域番号 |
14405032
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
酒井 健夫 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (50147667)
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研究分担者 |
伊藤 琢也 日本大学, 生物資源科学部, 講師 (20307820)
三浦 康男 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20339295)
見上 彪 日本大学, 生物資源科学部, 教授 (20091506)
倉根 一郎 国立感染症研究所, ウイルス第一部, 部長 (90278656)
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キーワード | 狂犬病ウイルス / ブラジル / 家畜 / 野生動物 / RT-PCR / N蛋白 / 遺伝子解析 / 分子疫学 |
研究概要 |
本研究は、ブラジルで分離された狂犬病ウイルス野外株の遺伝子配列を明らかにすることによって南米における狂犬病ウイルスの感染環を解明し、得られた遺伝子情報を基に高感度かつ迅速簡便な分子遺伝学的診断法を開発し、南米での狂犬病の防除対策に応用することを目的とした。 1987-1999年にブラジルにおいて狂犬病を疑われたイヌ12頭、ネコ11頭、吸血コウモリ5頭、ウシ15頭、ウマ2頭、ヒツジ1頭、ブタ1頭およびヒト3人、合計50検体を用いた。直接蛍光抗体法およびマウス脳内接種法により狂犬病と診断した後、直接脳組織より、またはマウス脳継代を経た後にRNAを抽出し、RT-PCRを用いてN蛋白遺伝子領域を増幅した。なおプライマーペアは、Itoらにより報告されているRHN1/RHNS3およびこれまでの研究によって決定された狂犬病ウイルスの塩基配列情報より新たに設計したSAS/SACを用いた。 RHN1/RHNS3を用いた場合は、イヌ、ネコ、ブタ、ヒトでは全検体が、またウシ2頭およびウマ1頭が陽性であり、吸血コウモリ全頭、ウシ13頭、ウマ1頭、およびヒツジ1頭は陰性であった。一方、SAS/SACは全検体において965bpのDNA断片を増幅した。以上より新たに設計したSAS/SACは、ブラジルの野外狂犬病ウイルスを検出するための共通プライマーとしてRT-PCR診断に有効であることが明らかとなった。またRHN1/RHNS3は、イヌ由来分離株と反応し、吸血コウモリ由来株には反応しないことが確認された。このことは、RHN1/RHNS3を種特異プライマーとして利用したRT-PCR診断法が、野外狂犬病ウイルスの由来種鑑別に有用であることを示唆するものであり、今後南米における野外ウイルスの迅速鑑別診断および分子疫学的解析への応用が期待される。
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