研究課題
硫化ジメチルは、海洋植物プランクトン起源の主要なイオウ化合物であり、全地球的な気候変化に多大な影響を及ぼすと考えられている気体の一つである。DMSの前駆物質であるジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)は、海洋の植物プランクトンによって作られることが知られているが、この過程には不明な点が多く、生物海洋学研究者のみならず、化学海洋学研究者、さらには大気の研究者からも注目を浴びている。特に、夏季の極域海洋の氷縁域では、植物プランクトンの大増殖に伴い、DMS濃度が高くなることが知られてきた。本研究では、平成14年度から平成17年度の研究期間に、夏季の南極海において現場観測を行い、植物プランクトンの光合成過程とDMSPの生成過程、植物プランクトン組成とDMSPの生成過程、及びDMSP-DMSの変性過程を、平成14年度〜16年度の現場観測から明らかにする。平成16年度には、2004年12月31日〜2005年1月25日の期間に実施された、東京海洋大学「海鷹丸」の航海に参加し、リュツォ・ホルム湾沖合いにおいて現場観測を実施した。当該補助金の一部は、研究航海参加旅費とした。現場観測では、海水の流れ、動・植物プランクトンの分布量、植物プランクトンの光合成速度の観測を行い、DMS及びDMSP濃度の関連についてデータを取得した。本年度は、特に、海色人工衛星データとの検証を行った。観測期間中、海色人工衛星データを「海鷹丸」船上で受信し、観測海域における植物プランクトン分布量に関する良好な画像が得られた。この衛星画像は、リュツォ・ホルム湾沖合いの氷縁付近で植物プランクトンの大増殖が起こっていることを示しており、現場観測の推進に大いに貢献した。
すべて 2005 2004
すべて 雑誌論文 (12件)
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