研究課題
硫化ジメチル(DMS)は、海洋植物プランクトン起源の主要なイオウ化合物であり、全地球的な気候変化に多大な影響を及ぼすと考えられている気体の一つである。DMSの前駆物質であるジメチルスルフォニオプロピオネート(DMSP)は、海洋の植物プランクトンによって作られることが知られているが、この過程には不明な点が多く、生物海洋学研究者のみならず、化学海洋学研究者、さらには大気の研究者からも注目を浴びている。特に、夏季の極域海洋の氷縁域では、植物プランクトンの大増殖に伴い、DMS濃度が高くなることが知られてきた。本研究では、平成14年度から平成17年度の研究期間に、夏季の南極海において現場観測を行い、植物プランクトンの光合成過程とDMSPの生成過程、植物プランクトン組成とDMSPの生成過程、及びDMSP-DMSの変性過程を、平成14年度〜16年度の現場観測から明らかにする。平成17年度には、これまでに実施された、第44次日本南極地域観測隊が傭船した「タンガロア号」の南極航海(平成14年度)、独立行政法人海洋研究開発機構地球海洋観測船「みらい」の南極航海(平成15年度)、東京海洋大学練習研究船「海鷹丸」の南極航海(平成14年度及び平成16年度)で得られた、現場観測データの取りまとめを実施した。本研究による現場観測では、海水の流れ、動・植物プランクトンの分布量、植物プランクトンの光合成速度の観測を行い、DMS及びDMSP濃度の関連についてデータを取得した。また、上記の航海の前後には、南極観測船「しらせ」が同一海域において観測を実施しており、植物プランクトンとDMS及びDMSPの動態を時系列的に解析した。これらの成果の一部は、国際学術雑誌の特集号として発表予定である。
すべて 2005
すべて 雑誌論文 (5件)
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