研究課題/領域番号 |
14406024
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
橋本 隆 久留米大学, 医学部, 教授 (20129597)
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研究分担者 |
安元 慎一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (10220162)
辛島 正志 久留米大学, 医学部, 講師 (70211175)
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キーワード | コロンビア / 落葉状天疱瘡 / Senear-Usher症候群 / デスモグレイン / エンボプラキン / ペリプラキン / 免疫ブロット法 / 腫瘍随伴性天疱瘡 |
研究概要 |
コロンビアのEl Bagre地方に風土病として発症する落葉状天疱瘡の検討のために10年間にわたる大規模な患者調査を行い、この疾患はEl Bagre地方に特徴的にみられるendemicな疾患であることが確認された。130人の患者の95%は比較的老年の男性であり、残りの5%は閉経後の女性であった。これは、若年の男女にみられ、臨床的には落葉状天疱瘡に類似の所見を示す、ブラジル天疱瘡とは異なっていた。組織学的には表皮上層の棘融解性水疱を認め、蛍光抗体法で、患者皮膚の表皮細胞膜部にIgGの沈着を認め、患者血中にIgG抗表皮細胞膜部抗体を検出した。 免疫学的検討では、免疫ブロット法により、患者血清の多くは160 kDaデスモグレイン1(落葉状天疱瘡抗原)を検出し、加えて、かなりの数の患者血清は250kDデスモプラキン、210kDaエンボプラキン、190kDaペリプラキンと反応した。また、免疫沈降法では、全ての患者血清は45kDaのデスモグレイン1の分解産物を免疫沈降した。これらの結果は、コロンビア天疱瘡は基本的には落葉状天疱瘡に類似していることを示している。 さらに、210kDaエンボプラキン、190kDaペリプラキン、BP230のリコンビナント蛋白を用いた免疫ブロット法とデスモグレイン1/3のELISA法で、コロンビア天疱瘡とブラジル天疱瘡の反応を比較した。その結果、多くのコロンビア天疱瘡はエンボプラキン、ペリプラキン、BP230のリコンビナント蛋白と反応したのに対して、ブラジル天疱瘡は反応しなかった。反対に、多くのブラジル天疱瘡がデスモグレイン3に反応したのに対して、コロンビア天疱瘡は反応しなかった。これらの事実はコロンビア天疱瘡とブラジル天疱瘡に相違があることを示唆するものであった。
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