研究概要 |
アジアの農村など歯科受診が困難な地域では、歯内治療を要する症例が放置され、あるいは治療可能な歯も抜去されている。本研究では、その現状を調べ、簡便かつ省時間で極めて有効な治療としての歯科ケア・キュアのシステムのための調査研究と、その方法の確立、実施を目的とし、下記の成果を得た。 1.モデル地区での3年目調査 バングラデシュ(主にShibchar地区の今年度対象、5-13才,365名,DMF:0.55;dmf:1.96)、フィリピン(Alfonso地区の今年度対象,6-7才,103名,DMF=0.41;dmf:3.85)の学童の第1大臼歯の保護を目的に、フッ素洗口による予防と、う蝕、感染根管治療のためのLSTR 3Mix-MP療法1回法を応用したケア・キュアのプログラムを実施した。ケアプログラムとしてのフッ素洗口は、Alfonso Central School、Shibchar Provhati Kindergardenの対象学年級で現地の研究者の協力を得て実施された。2-3年間の経年効果は明瞭ではなかった。3Mix-MP療法は両地区で1〜2年後の治療として良好であった。Shibchar地区では、1年目の停電時にやむを得ず実施したグラスアイオノマーのみの密封群に充填物の脱落が見られたが、既に根管が閉鎖され臨床的な不快事項はなかった。1年目から実施のLSTR療法+レジンインレー群では治療成績は全例で良好であった。 2.その他の地域歯科保健としての、成人、小児でのプログラム インドネシア(ジャカルタ)では、LSTR療法の広範な実施(662症例)の実施報告を行った。また、インドネシア(各地)、タイ(各地)での現地研究協力者へのLSTR療法の教授・研修を現地で行った。ギリシャ、中国、マレーシアでの活動を研究協力者と検討した。
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