研究概要 |
ガーナ共和国には平成14年度に調査に渡航し、南部の沿岸地域についてヒーラー(西洋薬は全く使用せず、薬用植物のみで病気の治療を行う医師の現地での呼称)および海外共同研究者随行のもと抗マラリア伝承薬用植物の調査を行い、最もマラリア治療に有望と推察される6種の薬用植物を入手した。また、コンゴ民主共和国には平成15年度に渡航し、コンゴ共和国との国境沿いの部族の集落の調査研究を海外共同研究者とヒーラーの随行のもとに実施し、有望と推察される抗マラリア伝承薬用植物を7種を入手した。また、コンゴ民主共和国ではマラリアと類似した原虫類であるアメーバー感染症の治療に利用されている伝承薬用植物5種も入手した。そして、これら18種の薬用植物についてin vitroでのマラリア原虫増殖阻害活性を検定したところ、15種に活性が確認された。さらに、マウスを用いたin vivo実験を行い、本実験で顕著な有効性が確認され、毒性が観測されなかった3種の薬用植物Euphorbia hirta, Hymenocardia acida, Morinda morindoidesについて活性成分の解明を行い、上記3薬用植物から活性本体として、フラボノールモノグライコサイド、フラボノイドC-グライコサイド、フェニルプロパノイド縮合型イリドイド類を単離した。これら3種の化合物は、従来の抗マラリア薬とは全く化学構造上の特徴が異なっており、しかも薬剤耐性マラリア原虫に対しても有効であることから、極めて有意義な知見であると考えられる。
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