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2002 年度 実績報告書

現象学および生態学的心理学における知覚システムの研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510002
研究機関岩手大学

研究代表者

小林 睦  岩手大学, 人文社会科学部, 助教授 (20292170)

キーワード知覚システム / 表象主義 / 反表象主義 / 古典的計算主義 / 生態学的アプローチ / 現象学的知覚論 / ギブソン / フッサール
研究概要

平成14年度は、ギブソンによる知覚システム論とフッサールの空間知覚論を比較検討するための作業を行なった。(1)まず、ギブソンがその知覚システム論において行なった伝統心理学批判の内容を検討した。主としてギブソンの第二の主著『知覚システムとしての諸感覚』に依拠しながら、J.ミュラーの「特殊神経エネルギー説」から帰結する「間接知覚論」の内容を分析し、それを批判するためにギブソンが提唱した「直接知覚論」の意義について考察した。(2)次に、ギブソンの知覚システム論を現代の認知科学のうちに位置づける準備として、主要な知覚理論における認知モデルの特徴を抽出することを試みた。そのために、ミュラー、ヘルムホルツ以来の伝統心理学と現代の古典的計算主義との共通点を「表象主義」的な「間接知覚論」という点に見出した。また、古典的計算主義とコネクショニズムの知覚モデルを比較し、内的表象が構文論的な構造をもつとみなす前者と、内的表象が構文論的な構造を欠く分散表象であるとみなす後者が、ともに内的表象にもとづく「表象主義」的なフレームワークに依拠する点で共通性をもつことを確認した。(3)さらに、以上のような「表象主義」と対立するものとして、ギブソンの知覚システム論を現代の認知科学諸派のうちに位置づける作業を行なった。具体的には、計算主義の立場からフォーダー=ピリシンが行なったギブソン批判と、それに対してギブソニアンのターヴェイ=リードが行なった反論の内容をあわせて吟味し、「表象主義(=古典的計算主義、コネクショニズム)」と「反表象主義(=生態学的アプローチ)」の対立構図を描き出すことを行なった。(4)最後に、ギブソンの知覚システム論とフッサールの空間知覚論との内在的関連の解明を試みた。その成果は「知覚というシステム-現象学と知覚理論-」(長滝祥司編『現象学と21世紀の知』(ナカニシヤ出版)所収、近刊)として平成15年度中に公表される予定である。

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公開日: 2004-04-07   更新日: 2016-04-21  

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