研究概要 |
認知から行為に至るハイデガーの「反表象主義」を、現代の認知科学で議論されている新しい表象概念と対照して論じた論文「Heidegger and Representationalism」を、UTCP Bulletin Vol.1に発表した。この論文では、現代の新しい表象概念を検討した後、ハイデガーの反表象主義が、その表象概念によっては解消されないものであることを論述している。 現代の技術の哲学に対して、ハイデガーの技術論がどのようなインパクトを持つのかを、2003年12月の国際会議「Pragmatism and the Philosophy of Technology in the 21^<st> Century」において、「Ontology, Pragmatism, and Technology」として発表した。この論文は、『存在と時間』期のハイデガーのプラグマティズムの両義性がどのように後期の技術論に受け継がれ、現代の技術による支配の意味を明瞭にする源泉となっているかを論じ、ハイデガーの技術論が、デューイを代表とするプラグマティズムよりも深く現代技術の意味をとらえていることを明らかにしている。 ハイデガーの言語論における表現主義を解明する基礎作業としての、フッサール現象学における表現主義の検討は、単著『フッサール』(NHK出版)において行われ、フッサールが現代の新しいタイプの表象主義を設立するものでありながら、同時にどのようにして表現主義への移行を橋渡ししているのかを論じている。
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