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2003 年度 実績報告書

西洋古代における哲学・医学・数学・懐疑主義による仮設法使用の比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 14510010
研究機関名古屋大学

研究代表者

金山 弥平  名古屋大学, 文学研究科, 教授 (00192542)

キーワード仮設 / 懐疑主義 / セクストス・エンペイリコス / 仮説 / 幾何学 / 数学 / 知識 / 論駁
研究概要

1 今年度の主たる研究成果は、セクストス・エンペイリコス『学者たちへの論駁』第1巻-第6巻翻訳の完成出版である。同書では、懐疑哲学の立場から、文法術、弁論術、数論、幾何学、星学(占星術)、音楽への批判が行なわれる。翻訳を通して、これまで一般に知られていなかった懐疑主義の重要資料を翻訳の形で世に送ることができた。また研究代表者自身、次の知見を得ることができた。
「仮設」「仮説」に相当するギリシア語hypothesisは、(1)「劇の梗概」(2)「弁論術における個別的な諸問題の探求」(3)「証明の原理」の三つの意味をもっており、セクストスはこの三つの意味を区別した上で批判にとりかかる。当初はこのような言葉の区別は非実質的なことと思っていたが、研究を進めていくなかで、むしろ懐疑主義者の論法と関係する重要な点であることに気づいた。すなわち、古代懐疑主義にとって実生活と密接に関係し、その基盤となるような事柄は懐疑の対象とならず、特別の知を自認する立場が攻撃の対象となる。それゆえ、セクストスにとって、言葉の意味を区別し、批判対象を限定することは必須の作業であり、hypothesisの意味の区別もその姿勢の現われである。とくに(3)の意味でのhypothesisは、まさしく知識の基礎を構成する原理(出発点)の役割をもつため、特別の意味でセクストスによる批判の対象となるのである。
2 15年度は上記1の作業に集中したため、プラトン『メノン』『パイドン』の仮設法についてはまだ具体的成果を上げるところにまではいたっていない。しかしそのための2次文献読解の基礎作業は進めることができた。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 金山 弥平: "知識と懐疑、古代と近現代-ソクラテスとヒュームが自らの心の内に観察したもの"哲学. 54号. 71-91 (2003)

  • [文献書誌] 金山 弥平: "プラトン『パイドン』におけるlogoiのなかでの探求"名古屋大学哲学論集. 6号. 1-17 (2003)

  • [文献書誌] 金山 弥平: "A・A・ロング『ヘレニズム哲学-ストア派、エピクロス派、懐疑派-』(翻訳)"京都大学学術出版会. 458 (2003)

  • [文献書誌] 金山弥平, 金山万里子: "セクストス・エンベイリコス『学者たちへの論駁 1』(翻訳)"京都大学学術出版会. 437+56 (2003)

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公開日: 2005-04-18   更新日: 2016-04-21  

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