研究課題
本研究は、士人に学ばれるものとしての「朱子学」の成立は朱熹以後の南宋から元、明にかけての文化、社会史的状況から生じてきた問題であると捉え、慶元6年(1200)の朱熹の死の前後から南宋末までに焦点を絞り、朱熹学術受容者層の動向に注目することにより、士大夫思想界で南宋後期にいわゆる「朱子学」がしだいに形になっていく実態を解明しようとするものである。本年度の研究遂行及び成果発表の状況は、以下の通りである。1.朱熹学術受容者の朱熹への接近の実態と背景を検討すべく、前年度に引き続き、地方志その他に含まれている朱熹生前の関係者に関する資料から情報を抽出・整理し、また多量に現存する朱熹書簡等の対話型資料について様々な角度から分析を深めた。2.朱熹没後の朱熹初伝、再伝の朱熹学術各受容者とその受容の諸相について、前年度に引き続き情報を抽出・整理した。朱熹の直門中で後世からみて特に重要な陳淳、黄幹について検討しつつある。朱熹思想の全体をその一次受容者は見ることがないことを、標題研究の実態理解の出発点とする必要があることが明らかとなりつつある。中心的成果の発表は最終年度となる。・経費の一部は、以上の1、2関連電子媒体資料及び図書の購入にあてた。3.以上の1、2の研究成果の一部として、朱熹と受容者それぞれの学ぶことに関する自己意識のあり方を分析することにより朱熹学術が一次受容者に受容される理由を検討した成果を、2004年8月にモスクワで開かれた第37回ICANAS(国際アジア北アフリカ研究会議)において、米国及び日本の研究者と共同パネルを企画して発表した。・経費の相当部分は、この企画の実施(旅費、翻訳謝金等)にあてた。
すべて 2004
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アジア遊学 64
ページ: 99-109
Chinese society and its significance after the Tang-Song reformation : with focus on the civil service examination, urbanization, and lineage systems. 37th ICANAS in Moscow(英文冊子)
ページ: 16-25
東洋古典学研究 第18集
ページ: 169-184
中国思想における身体・自然・信仰-坂出祥伸先生退休記念論集-』(東方書店刊)
ページ: 95-112