神仙思想の仙人の起源は、秦・漢時代の死生観の変化に由来すると思われる.仙人は、たんに長生きした人ではなく、むしろ、本来は死者であり、死者の魂の永世という観念が屈折して、肉体も不死であるという仙人が生み出されてきたのであろう。この内容に即して、以下のような考察をおこなった。 一、僊の文字と魂 ・死についての文字学的考察-魂と骨の観点から- ・厚葬と薄葬-神仙思想の観点から- ・「仙」と「僊」-神仙思想の形成と文字の変化- 二、列仙図と列仙傳: ・祀られる仙人-列仙図をめぐって- ・『列仙傳』の仙人-黄帝・関尹子・涓子- 三、蓬莱山と博山炉 ・博山炉と香-蓬莱山との関わりから- 四、崑崙山と渾沌 ・『荘子』にみえる北と南と中央 五 房中術の精気 ・房中術の精気と鍼灸の精気 これらは、いずれも、神仙思想の生み出される基盤を形成していたと考えられる。
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