研究課題/領域番号 |
14510026
|
研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
田村 智淳 宮崎大学, 教育文化学部, 教授 (80025064)
|
研究分担者 |
桂 紹隆 龍谷大学, 文学部, 教授 (50097903)
フランシス ブラサル 宮崎国際大学, 比較文化学部, 助教授 (10341645)
|
キーワード | 華厳経 / 十字経 / 神変 / 威神力(adhisthana) / 加持(adhisthana) / 普入(samavasarana) |
研究概要 |
平成14年以降の4年間に入手した実質合計28種の写本の中、100%スキャンされたのは、Royal Asiatic Society(RS), Biblioteque Nationaleの一本、Nepali-Germanの2本、Turfan fragmentである。残余の写本は、50%〜10%のスキャン率である。総体的には約30%である。 本年度は、「研究成果報告書」の作成のために、次のような作業に従事した。 (1)Sanskrit texts:既公刊のVaidya本に、最も古いとされるRSの全文をローマ字体で次行として附し、さらにSuzuki本、Baroda写本およびCambridge写本の異読をfolio-lone数と共に加えた。第I章に関しては、上記の写本すべての異読を附することも可能であったが、異読の多くが単なる書写ミスによるものであり、煩雑を避けるために省いた。 (2)Tibetan texts:sde-Dge版の全文をチベット文字でSanskrit textsの下に附し、異読がある場合に限ってPeking版をfolio-lone数と共に加えた。 (3)漢訳:60巻本・80巻本・40巻本の全文をTibetan textsの下に附した。これら3本の間には、多くの異読が見られ、これらの異読を詳細に吟味・検討し、それぞれの漢訳本の原本を推察することは今後の課題である。 (4)日本語訳:昨年の報告書には、「必要な箇所には目本語訳をつけ」る予定を述べたが、第I章に関して言えば、研究代表者・研究分担者がその一員となって出版した『さとりへの遍歴 上・下』(中央公論社)の日本語訳を大きく変える必要は見いだせなかった。さらに、日本語訳を省いても、最終報告書がすでに200ページに近いことも勘案して、日本語訳は省略した。 今年、最終報告書を作成中に気づいたことは、我々は可能な限りの写本を集めてよりクリティカルなSanskrit textsをめざしたのであるが、実際には新しい解釈を可能とする異読は見いだせなかった。しかし、このような作業を『華厳経入法界品』のすべてに渡って続け、それを完了するならば、恐らく幾らかの新解釈も見いだせるであろう。
|