研究概要 |
今年度、シカゴ大学オリエント研究所による報告書(最新刊を含む)の分析結果を論文の形で発表する予定であったが、最も重要な最新報告書であるTimothy Harrison, Megiddo 3:Final Report on the Stratume VI Excavatuions (University of Chicago Oriental Institute Publications)の出版が予定よりかなり遅れ、分析対象に含めることができず、論文にまとめることができなかった、平成17年度には発表予定。 今年度の研究実績として以下の2点を挙げることができる。 (1)メギドにおけるVI層-AとV層-A-IV層-Bの年代決定において重要む意味を持つ、イスラエル・フィンケルシュタインの主張する低年代説(Low Chronology)と伝統的な年代説(Traditional Chrnology)の比較研究を進めることができた。結果として、どちらの説も決定的な根拠を示していないことが判明した。多くの研究者(考古学者)が伝統的な年代説を支持するのは、低年代説が伝統的な年代説を覆すほどの根拠を提示できないことによる。この研究の副産物として、フィンケルシュタインとシルバーマンのThe Bible Unearthedの日本語訳が今年中に出版される予定である。 (2)本研究と密接に関係している、古代イスラエルにおける10世紀問題について、3月にイスラエルを訪れ、ベン・グリオン大学のエリエゼル・オレン教授、ヘブライ大学のアミハイ・マザール教授、エフライム・シュテルン教授、ドロン・ベン・アミ博士にインタビューをすることができた。彼らはすべてフィンケルシュタインの低年代説には否定的であった。フィンケルシュタインの主張の問題点が多く指摘された。
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